日本の医療現場で活躍するEPA看護師!雇用する際のポイントは?
日本で働く看護師として働くためには?EPA看護師ってなに??
近年では、看護や介護など医療現場での外国人の活躍が増えてきています。
彼らはいったい、どのようにして日本で働いているのでしょうか。
また、外国人の方に来てもらうことは職場の雰囲気が明るくなったり、多様性に触れることで一人一人の医療従事者の視野が広がっていくことにつながります。
そのようなメリットからも外国人医療従事者の雇用に興味のある医療関係者の方もいるかと思います。
雇用するためにはどのようなステップを踏めばいいのでしょうか。
今回はそんな外国人看護師についてピックアップしてお話していきたいと思います。
目次
1.看護師として働くための方法と在留資格
外国人の方が日本で看護師として働くためには次の3つの方法があります。
① 厚生労働大臣指定の日本の看護師養成所を卒業し、国家試験に合格する
② 外国の看護師学校養成所を卒業し、外国において看護師免許を取得した場合、日本で受験資格認定を受け、国家試験に合格する
③ EPA看護師候補者として来日し、最長3年間の研修・就労を行いながら国家試験に合格する
①は、日本に来て日本人と同じように日本の高校へ進学し、看護師養成所を卒業して試験に合格する方法です。
また、②は母国で看護師免許を取得し、日本で受験資格認定を受けるというものです。
受験資格認定を受けるためには次の7項目の基準を満たしていなければなりません。
⑴ 看護師学校養成所の修業年限
ア.看護師学校養成所の入学資格
高等学校卒業以上(修業年限12年以上)、または同等と認められる者
イ.看護師学校養成所の修業年限
3年以上
ウ.看護師学校養成所卒業までの修業年限
15年以上または同等と認められる者
⑵ 教育科目の履修時間
履修時間の合計が97単位以上(3000時間以上)で、保健師助産師看護師学校養成所指定規則等に規定する基礎分野、専門基礎分野、専門分野Ⅰ、専門分野Ⅱ及び統合分野の単位数、時間数を概ね満たすこと
⑶ 教育環境
日本の看護師学校養成所と同等以上と認められること
⑷ 当該国の判断
当該国または州政府等によって正式に認められた外国看護師学校養成所であること
⑸ 看護師学校養成所卒業後、当該国の看護師免許取得の有無
原則として取得していること
⑹ 当該国の看護師免許を取得する場合の国家試験制度
国家試験、またはこれと同等の制度が確立されていること
⑺ 日本語能力
日本の中学校及び高等学校を卒業していない者については、日本語能力試験N1の認定を受けていること
③については、この後詳しく説明していきます。
<在留資格>
看護師として就労できる在留資格は「医療」「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」です。
ただし、EPA看護師候補者から看護師になった場合には「特定活動(EPA看護師)」で在留することもできます。
2.EPA看護師とは
EPA看護師とは、EPA(経済連携協定)に基づいて来日したEPA看護師候補者から看護師国家試験に合格して看護師となった方たちを指します。
EPA看護師になるためにはまずEPA看護師候補者として来日する必要があります。そして、来日後原則として3年以内に看護師国家試験に合格してEPA看護師となります。
看護師候補者から看護師になるまでの流れをみてみましょう。
上記のように、たとえ3年目の国家試験で不合格であっても、一定の条件を満たす者は1年間の滞在延長が可能です。
また、帰国した場合でも「短期滞在」で再度入国し国家試験を受験することができます。
3.EPAに基づく外国人の受入れ~EPA看護師候補者、EPA介護福祉士候補者~
日本では、EPA(経済連携協定)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から「看護師候補者」と「介護福祉士候補者」を受け入れています。
この受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応ではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施しているものです。
EPA看護師候補者、介護福祉士候補者として来日した外国人は、看護師・介護福祉士の国家資格を取得することを目的として就労・研修を行います。
資格取得後は、看護師・介護福祉士として滞在し、就労が可能です。
<在留期間>
<看護師候補者の要件>
<介護福祉士候補者の要件>
~受入れ施設での就労・研修までの流れ~
※1 日本語能力試験N2以上の候補者は日本語研修が免除されます。
※2 一定期間内に日本語能力試験N3もしくはN4を取得した候補者は日本語研修が免除されます。
4.EPA看護師候補者を雇用する際の注意点
<💡雇用契約において定めるべき内容>
・候補者の労働契約の期間(3年間)
・就労開始日(訪日後日本語研修修了翌日)
・就業場所、業務内容、基本給額、諸手当額、超過勤務給額、労働時間、休暇休日等の労働条件
・その他渡航費用、雇用契約終了の際の帰国費用の負担、契約の終了事由等
<💡雇用契約における注意点>
・日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を支払うこと
・社会保険、労働保険を適用すること
強制適用なので必ず加入しなければなりません。
・試用期間は設けないこと
※雇用契約を安易に変更することはできません!
所定の様式による雇用契約がJICWELSの紹介によって締結されていることが、採用予定者への査証の発給や入国及び滞在の許可要件の一つとなっています。
そのため、就労開始時に安易に変更することはできません。
特に、労働条件等を候補者に対して不利益な形に変更した場合、受入れ施設要件の「虚偽の求人申請」にあたる場合があります。
これに該当すると、その受入れ施設は3年間の受入れ停止及び現在受入れ中の候補者の受入れ機関変更の対象になります。
※国際厚生事業団(JICWELS)以外にあっせんの依頼はできません!
EPAに基づく受入れでは、公正かつ中立にあっせんを行うとともに適正な受入れを実施するという観点から、国際厚生事業団(JICWELS)が唯一の受入れ調整機関となります。
これ以外の職業紹介事業者や労働者派遣事業者にあっせんを依頼することはできないので気を付けましょう。
5.EPA看護師候補者の査証発給
EPAの枠組みの下で、日本への査証を得て入国・滞在するためには、
・JICWELSのあっせんにより、受入れ機関と雇用契約を締結していること
・送出し国政府の指名により、日本国政府に対して口上書きによって通報されていること
が条件となります。
候補者の査証申請は、送出し調整機関が一括して、それぞれ送出し国の日本大使館へ申請します。
査証の申請が行われると、日本政府は以下の①から③の要件を満たしているかなどを確認し、候補者に対して査証を発給します。
査証の審査には約1ヶ月ほどかかります。
① 候補者と受入れ機関がそれぞれの要件を満たしていること
② 要件を満たした受入れ機関と候補者との間で、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容とする雇用契約を締結していること
③ 受入れ機関と候補者との雇用契約の締結はJICWELSのあっせんによって行われたものであること
6.まとめ
外国人を雇用する際は日本人以上に気を付けなければならないことがたくさんあります。
一歩間違えると罰則の対象になってしまう事もあるので慎重に採用することが大切です。
また、EPA看護師候補者の看護師国家試験の合格率は10%前後と日本人と比べてかなり低く、狭き門となっています。
これには語学の壁が大きく関わっているのでしょう。
国としても試験条件の緩和は行っていますが毎年約9割のEPA看護師候補者が帰国しているというのが現実です。
合格率を上げ、正規の看護師として自分の病院で働いてもらうためにも、病院側が看護師候補者に対するサポートとしてできることなどもあると思います。
病院で外国人看護師の雇用を考えている方はぜひそういったことも考えてみてください。
不安な点があれば専門の行政書士に相談することをお勧めします。
弊所でもご相談お待ちしております。
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