「永住権」を取得するには~在留資格「永住者」の概要や必要な条件、特例など
目次
1.「永住権」を取得するには~在留資格「永住者」の概要
「永住権」とは在留資格の一つである「永住者」のことであり、「永住ビザ」などと呼ばれることもあります。永住権にはさまざまなメリットがあり、特に在留期間が無期限になることが挙げられます。
ほかの在留資格の場合では、最長でも5年となっており、その都度更新申請が必要となります。(ただし永住権でも在留カードの更新は7年に一度必要となります。)日本で暮らす外国人にとっては、夢のような資格であると言えるでしょう。
また本来、外国人が日本で暮らす場合には、在留資格で定められた活動や仕事をしておく必要があります。永住権の場合であれば、そのような制限はありませんから、自由に仕事内容や活動を決めることができるのです。
ただし、永住権を得るには、とても厳しい審査に通過しなければなりません。永住権の申請中においては、もともとの在留資格が適用となりますので、それらの更新申請なども必要となります。特別な在留資格だからこそ、取得することも難しくなっているのです。
2.「永住権」を取得するには~「永住許可申請」に必要な条件
永住権を取得するためには、永住許可申請を行う必要があります。ただ、この申請は外国人が日本に来ていきなりできるものではなく、今所持している在留資格から変更する申請となっています。
つまり、日本で暮らす外国人であれば、すべて永住許可申請ができるというものではなく、その条件が認められた場合に限っています。では、どのような条件が必要になるかと言いますと、次の3つ挙げることができます。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
これは永住許可申請に必要な審査基準として、実際に掲げられているものになります。内容について詳しくみていきましょう。
2-1.素行が善良であること
「素行が善良であること」とは、日常生活や社会生活において、違反を起こすようなことなく、また風紀を乱すようなこともなく過ごしているということを指します。当然のことではありますが、法律を守ることは最低限度、必要となります。
そのため、わが国の法を破って、懲役や禁固、罰金などに処せられたことがあったり、保護処分が継続していたり、その他善良だと認められないような事情がある場合には認められません。
特に注意が必要なのは交通違反で、スピード違反や駐車違反、飲酒運転などをしている場合には許可が難しくなるケースもあります。
2-2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
これは「独立生計要件」と呼ばれているもので、将来にわたって安定して生活ができるのかどうかといったことを指しています。公共の負担になっていないことが条件であり、資産や技能を有していることなどが必要であるとされています。そのため、生活保護者は対象外となります。
もちろん、申請者は配偶者や子供であるケースも多いため、扶養されている場合には世帯単位で考慮されることになります。この場合、配偶者に相当な収入が必要になり、年収の目安としては300万円以上であると考えられています。
ただし、被扶養者が多い場合には、その分、必要な収入は上っていくことになります。そのため、収入を証明するための課税証明書の提出が求められることになります。
2-3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
これは「国益適合要件」と呼ばれるもので、いくつかの要件が掲げられています。
- 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
「引き続き10年以上日本に在留していること」とは、在中資格の期限が途切れることなく10年以上の在留を続けているということをいいます。
留学や就学の在留資格で入国し、引き続き就労資格や居住資格を得て在留している場合においては、それらの資格を得てから5年以上の在留資格が必要になります。
- 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
罰金刑や懲役刑については上記でもお伝えした通りですが、税金の未納や保険料の滞納などがある場合にも認められないことがあります。
- 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
生活の本拠が日本にあるということが必要になります。「日本人の配偶者等」「定住者」などといった在留資格の場合であれば、在留期間は3年を認められている必要があります。
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
「公衆衛生上の観点から有害となる」というのは、何かしらの感染症を有していないことや、麻薬や覚せい剤などの中毒でないことが求められます。また自宅がゴミ屋敷になっていないようなことも必要になります。
3.原則10年在留に関する特例
永住権を取得するためには、上記でお伝えした通り、「国益適合要件」として原則10年以上日本に在留している実績が必要となっています。ただし、一定の条件を満たしている場合においては、10年に満たないとしても認められる「特例」が下記の通り設定されています。
- 日本人や永住者などの配偶者の場合、婚姻生活が3年以上かつ日本に1年以上の在留があること
- 「定住者」の在留資格で5年以上日本に在留していること
- 「難民」の認定後に5年以上日本に在留していること
- 外交や社会、経済、文化などの分野においてわが国に貢献があると認められて、5年以上日本に在留していること
- 地域再生法に定められている活動などにおいてわが国に貢献があると認められて、3年以上日本に在留していること
- 「高度人材外国人」の在留資格を有し3年以上日本に在留している場合に、高度専門職省令に規定するポイント計算で70点以上の点数を有している者
- 「高度人材外国人」の在留資格を有し1年以上日本に在留している場合に、高度専門職省令に規定するポイント計算で80点以上の点数を有している者
「高度専門職省令に規定するポイント計算」とは、「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」と呼ばれているもので、「高度人材外国人」を受入れるために開始された制度です。
研究や開発、事業経営などの高度な専門知識を有する外国人が、わが国に「高度人材外国人」の在留資格で在留した場合には、10年の在留がなくても特例として永住許可の対象となるのです。
4.まとめ
日本で永住するための在留資格『永住者』の申請のことなら、在留資格に関する申請に精通した行政書士に申請を依頼することをおすすめします。永住者の申請は上記でお伝えした条件を満たしているだけではなく、さまざまな書類を整備しておく必要があります。
特に理由書においては、永住に必要な理由を明確にし、簡潔に伝えなければなりません。かなり慎重にかつ厳しく精査されている現状があります。
また、許可が出るまでには6か月程度が必要となっており、さらに審査期間が長引くようなことも珍しいことではありません。申請内容に虚偽があるような場合には、許可が認められないばかりではなく、永住権を取得した後においても取り消されてしまうこともあります。
また、申請中においては現状で取得している在留資格の更新手続きなども必要になります。
定められた在留資格での活動や就労も行わねばならない中で、必要な書類を整備し、厳しい審査に通るためことは、大きな負担となることは間違いないでしょう。
そのため、申請、規制、法令に対する豊富な経験を持っている行政書士に依頼しておけば、とてもスムーズに進めることができ、安心して日本での活動に取り組むことが可能となります。うまく活用してみてみることをおすすめします。
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