「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へのビザ変更を徹底解説!
留学生が「技人国」の在留資格で働く方法!要件は?いつどうやって申請する??
日本の企業で働くおよそ9割の外国人は、「技術・人文知識・国際業務」いわゆる「技人国」と言われる就労ビザで働いています。
この「技人国」のビザを取得するためには何が必要なのでしょうか。
「卒業後は日本で働きたい!」と思っている留学生の方も多いと思います。
今回は、そんな“留学生が日本で就職をして「技人国」のビザで働く”というケースについて解説していきます。
目次
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- 1.留学生が日本で就労するまでの流れ
- 2. 「留学」から「技人国」への変更ポイント~申請時期・要件~
- 3.技人国ビザで働くことができる職種
- 4.留学ビザから技人国ビザへの変更手続き
- 5.「留学」→「技人国」変更許可・不許可事例
- 6.まとめ
1.留学生が日本で就労するまでの流れ
① 卒業後の内定先が決定していて卒業後すぐに就職
→ 「留学」から「技術・人文知識・国際業務」、「特定活動(46号)」、「特定技能」のいずれかへ在留資格変更
② 卒業後の内定先は決定しているが就労までの期間が3か月以上ある
→ 「留学」から「特定活動(就職内定者)」への在留資格変更
これは内定待機のための特定活動ビザであり、卒業後に内定までの期間が3か月以上ある場合に「特定活動(就職内定者)」への在留資格変更が必要です。
③ 卒業後の就職先が決まっていない
→ 「留学」から「特定活動(継続就職活動)」への在留資格変更
一定の条件を満たしていれば在留期間6か月(1回の更新可能)の「特定活動」への変更が認められ、「留学」の在留期間満了後も合計1年間、日本で就職活動を行うことができます。
※原則として、日本語教育機関の卒業者は海外の大学等を卒業した者でないと認められません。
今回は、①の中の「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ在留資格を変更する場合について詳しく説明していきます。
2.「留学」から「技人国」への変更ポイント~申請時期・要件~
留学生が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労するまでの大まかな流れは次のとおりです。
就職活動 → 面接 → 内定 → 契約締結 → ビザ変更申請 → ビザ取得 → 卒業 → 就労開始
A.就労ビザへの変更の際には雇用契約書を提出する必要もあるため、ビザ変更申請よりも先に内定を出します。
この際、万が一ビザを取得できなかった時のために
「本契約は日本政府の正当で就労可能な在留資格の許可または在留期間の更新を条件として発行する」
という旨の停止条件をつけて契約することになります。
また、結ぶ契約は雇用契約だけでなく、業務委託契約や派遣契約でも申請可能です。
ただし、派遣契約の場合には契約期間によっては安全性に欠けるため、雇用契約よりはビザがおりる可能性が低くなってしまいます。
< 💡変更申請時期>
春に卒業し、4月から働く場合には、前年の12月からビザ変更の申請ができます。
1~5月は入管の繁忙期にあたるため、余裕を持って申請を行うことが必要です。
また、9月入社の場合には、5月からビザ変更の申請が可能です。
< 💡要件>
「技人国」への在留資格変更を行うためには以下6つの要件を満たさなければなりません。
① 学歴 or 実務経験
② 企業の経営状態
③ 日本人と同等の報酬
④ 専攻科目と職務内容の関連性
⑤ 雇用の必要性、業務量
⑥ 申請者の素行
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
① 学歴or実務経験
「技人国」ビザを取得するには、学歴又は実務経験が必要です。
<学歴>
学歴については「外国で短大や大学等日本の学士相当の学位を取得している」又は「日本の専門学校や短大、大学等を卒業している」必要があります。
可能〇
・日本の専門学校を卒業
・日本の大学等を中退 or 卒業
・日本の大学院を中退 or 卒業
・本国の大学等を卒業
原則不可×
・日本の日本語学校を中退 or 卒業
・日本の専門学校を中退
・本国の高等学校を中退 or 卒業
・本国の大学等を中退
※大学中退で申請可能なのは、日本の専門学校や本国の大学を卒業している場合などに限られます。
※海外の大学等の場合、日本の大学と同等にならないことがあるので注意が必要です。
<実務経験>
学歴の要件に当てはまらない場合は次の職歴の要件を満たしていればOKです。
「技術」・「人文知識」に関連する業務
→ 10年以上の実務経験
「国際業務」に関連する職務
→ 3年以上の実務経験
※大学を卒業した人が翻訳、通訳、語学指導をする場合は実務経歴不問。
※大学や高校等でその専門分野に関連する科目を専攻した期間を含む。
実務経験を証明するためには過去に勤務していた企業などから書類を集めることなどが必要になります。
そのため、学歴の要件で申請するよりも難易度が高くなります。
② 企業の経営状態
外国人を安定的かつ継続的に雇用するために会社の経営状態が安定していることが求められます。
これについては原則として決算書(P/L、B/S)に基づいて審査されますが、場合によって試算表や事業計画書についても審査されることになります。
また、新設会社や赤字決算の企業でも外国人を雇用することは可能です。
ただし、新設会社や赤字決算の場合には今後のビジョンや具体的な方針を盛り込んだ事業計画書の提出が必須です。
③ 日本人と同等以上の報酬
外国人を雇用する場合も日本人社員と同等以上の給料を支払わなければなりません。
報酬額が一律に定められているわけではなく、会社の賃金体系を基に日本人と同額以上であるか判断されます。
※ここでいう報酬には通勤手当、扶養手当、住宅手当等は含みません。
④ 専攻科目と職務内容の関連性
「技人国」で就労する業務には専門性が求められ、単純作業を行うことはできません。
また、専門的な業務であっても、留学生が大学や専門学校で習得した専門知識と関連のない業務での就労はできません。
大学の卒業生については、大学の性格を踏まえてこの関連性が柔軟に判断されます。
しかし、専門学校の卒業生の場合には大学とは設置目的が異なるため、専攻内容と業務の関連性が厳しく審査されます。
⑤ 雇用の必要性、業務量
専門技術を持つ外国人を雇うためには、その人がその会社でその仕事を行う必要があることが必要です。
また、求められている職務について十分な業務量が確保されていることが必要です。
例えば、リゾートホテルでフィリピン人を通訳として雇用したい場合。
そのホテルの宿泊客の大半が中国人の場合には、そのフィリピン人を雇用する必要性や業務量がないため不許可になる可能性が高いです。
⑥ 申請者の素行
在留資格の変更が許可されるには、申請者本人の素行が善良であることが前提です。
具体的には、逮捕歴や犯罪歴がないこと、不法就労活動を行っていない、退去強制になっていないかが問われます。
普通の暮らしをしていれば特に問題になることがありませんが、アルバイトでのオーバーワークには注意してください。
オーバーワークに関してはとても厳しく審査されます。
週28時間(夏季休暇期間中では40時間)を超えて働いていた場合には課税証明書などから特定されてしまい、許可が下りません。
3.技人国ビザで働くことができる職種
上記でも説明したように、技人国ビザで働くためには、専門性のある職種でなければいけません。
それぞれの分野で就労できる具体的な職種を紹介します。
<技術>
技術に該当する職種は、大学の理系分野の学生が就職する職種です。
・ 建築技術の基礎研究や応用研究などに関わる職種
・ 土木や建築に関する研究、開発、解析などに関わる職種
・ 自動車メーカーでの製品開発、技術開発などに関わる職種
・ 各種機械の技術開発、研究に関わる職種
・ ソフトウェアエンジニア
・ SE
・ CAEシステム解析・開発業務
・ プログラマー
・ テクニカルサポート
・ ゲームエンジニア
<人文知識>
人文知識に該当する職種は、大学で法律学、経済学、社会学その他の人文科学を学んだ文系分野の学生が就職する職種です。
事務系: 経理、人事、総務、法務、広報、財務
貿易系: 海外営業、貿易事務、物流コンサルタント、バイヤー、貿易コンサルタント
営業系: 営業企画、キャリアカウンセラー、派遣営業、法人営業、個人営業
金融系: 経営コンサルタント、金融事務、ファンドマネージャー
<国際業務>
国際業務は、外国籍由来の思考又は感受性を必要とする職種が該当します。
・ 通訳/翻訳
・ 一般企業の語学教師
・ 通訳を主とした海外取引業務
・ グラフィックデザイナー
・ インテリアデザイナー
・ 服飾デザイナー
4.留学ビザから技人国ビザへの変更手続き
< 💡必要書類> (カテゴリー3の企業にあたる場合)
< 💡申請先>
留学生の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
< 💡申請者>
・申請人本人
・申請人の法定代理人
・取次者(雇用機関等の職員、届出済みの弁護士又は行政書士)
< 💡審査期間>
1ヶ月~2か月程度
5.「留学」→「技人国」変更許可・不許可事例
<許可事例〇>
① 教育学部卒生
→ 語学指導を業務内容とする企業において、英会話講師業務に従事
② 国際コミュニケーション学科(コミュニケーションスキル、接遇研修、異文化コミュニケーション、キャリアデザイン等を履修)の専門学校卒生
→ 人材派遣、人材育成、研修サービス事業を運営する企業において、外国人スタッフの接遇教育、管理等のマネジメント業務に従事
③ 国際ビジネス学科(貿易論等の経営学に係る科目を中心に履修。ビジネス通訳実務、通訳技巧など翻訳・通訳に特化した科目を専門科目において履修)の専門学校卒生
→ 商社の海外事業部において、商談の通訳及び契約資料の翻訳業務に従事
<不許可事例×> (不許可理由)
① 教育学部卒生
→ 弁当の製造・販売業務を行っている企業において、現場作業員として弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事
(弁当の箱詰め作業は、人文科学の分野に属する知識を要するものとは認められない)
② 商学部卒生
→ 貿易業務・海外業務を行っている企業において海外取引業務に従事
(「留学」で在留中に1年以上継続して月200時間以上アルバイトしていたことが明らかとなり、資格外活動許可の範囲を超えていたことから、在留状況が良好とは認められない)
③ 国際ビジネス学科(経営戦略、貿易業務、政治経済、国際関係論等を履修)の専門学校卒生
→ 同国人アルバイトが多数勤務する運送会社において、同国人アルバイト指導のための翻訳・通訳業務及び労務管理業務に従事
(教育及び翻訳・通訳業務と専攻科目との関連性が認められない)
6.まとめ
留学生が卒業後、日本で「技術・人文知識・国際業務」で就労する流れがつかめたでしょうか。
学歴以外にもさまざまな要件があることがご理解いただけたと思います。
外国人を「技術・人文知識・国際業務」のビザで雇用する場合には、
・技人国ビザで働ける業種かどうか
・業務内容と専攻科目との関連性があるか
・学歴や職歴などの要件は満たしているか
などをしっかりと確認することが大切です。
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弊所でもご相談お待ちしております。
<業務対応地域>
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