特定技能1号・2号について徹底解説!受入れ機関って?申請方法は?
在留資格「特定技能」とは?技能実習との違いって??
目次
1.特定技能の概要
特定技能とは、H30年の法改正によって新しく創設された在留資格です。
これによって人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」で新たに18歳以上の外国人の受け入れが可能になりました。
この特定技能の在留資格で働くためには、外国人と受入れ機関それぞれが要件を満たしていなければなりません。
導入の目的は、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるというものです。
この特定技能は、「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれています。
特定技能1号
相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向け
特定技能2号
熟練した技能を要する業務に従事する外国人向け
1号を経た後に次のステップとして用意されているのが2号になります。
(この制度が導入されたのが2019年で、2号の試験は2022年度から開始予定です。)
また、2号を経ていると10年滞在することができるので永住権の取得も可能になってきます。
<特定技能1号と特定技能2号の違い>
技術の試験は働くそれぞれの分野で評価試験があります。
また、日本語能力評価試験は「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」と「日本語能力試験(JLPT)」の2種類があり、どちらを受けても大丈夫です。
これらの試験については、技能実習2号を良好に修了した外国人は免除されますが、実習と別の分野で働く場合には試験を受ける必要があります。
<受入れ分野>
受入れ分野は、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)である14分野となっています。
そしてさらには、各分野ごとにも従事できる具体的な業務内容が定められています。
このうち、現在は建設と造船・舶用工業の2分野のみで2号の受入れが可能です。
※2023年までに他の分野でも2号での受入れが導入される予定です。
2.技能実習と特定技能の違い
技能実習と特定技能ではそもそも目的が全く違ってきます。
技能実習の目的は日本の技術や知識を発展途上国へ持ち帰り、その国の経済成長に協力するという「国際貢献のための制度」です。
一方で、特定技能の目的は生産性の向上や国際人材の確保など「人手不足解消のための制度」になります。
大雑把に言ってしまえば、技能実習は研修の在留資格で特定技能は働くための在留資格ということです。
目的が大きく異なるため、当然業務内容や求められる技術水準なども変わります。
<特定技能1号と技能実習の違い>
また、技能実習→特定技能への切替えを行うためには、技能実習2号又は3号を修了している必要があります。
※技能実習についてはこちら
3.受入れ機関
受入れ機関とは、特定技能外国人を実際に受け入れ、支援する企業や個人事業主です。
すべての受入れ機関は特定産業分野ごとに分野所轄省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。
<受け入れるための基準>
①外国人と結ぶ雇用契約が適切であること(報酬額が日本人と同等以上であること等)
②受入れ機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)
③外国人を支援する体制があること(外国人が理解できる言語で支援ができること等)
④外国人を支援する計画が適切であること
<受入れ機関の義務>
①雇用契約を確実に履行すること(報酬を適切に払う等)
②外国人への支援を適切に実施すること
支援は登録支援機関に委託することも可能。支援機関に全てを委託すれば1号の外国人への支援計画の適正な実施の確保に係る基準を満たしているとみなされます。
③出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
※①~③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令を受けることがあります。
4.登録支援機関
登録支援機関とは、受入れ機関から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の一部または全部の業務を実施する者のことです。
受入れ企業自身で支援を行うことが困難な場合、委託することが多いです。
ただし、委託するには相当のコストがかかります。おおよそ1人あたり月に3~5万円ほどかかり、5年間雇用すると考えたら最大で300万円ほどかかることになります。
費用対効果を考えて活用するようにしましょう。
委託を受けた機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることで「登録支援機関」になることができます。
登録の期間は5年間で、更新をしなければ登録から外されることになります。
<登録を受けるための基準>
①支援機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)
②外国人を支援する体制があること(理解できる言語で支援できる等)
支援計画の全部を実施できる体制が整っている必要があります。
<登録支援機関の義務>
①支援を適切に実施すること
②出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
※①②の義務を怠ると登録を取り消されることがあります。
5.1号特定技能外国人に対する支援
受入れ機関又は登録支援機関は外国人に対する支援が義務付けられています。
具体的な支援内容は次の10個です。
①入国前の生活ガイダンスの提供
②入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
③住む家の準備、電気やガスなどライフラインの契約などの支援
④在留中の生活オリエンテーションの実施(口座の開設、携帯電話の契約の支援など)
⑤日本語の勉強の支援
⑥外国人からの相談・苦情への対応
⑦外国人がやらなければならない各種行政手続きについての情報提供、支援
⑧日本人とのコミュニケーションの場を提供
⑨受入れ側の都合で解雇される場合に仕事が変わるときの支援
⑩ミーティング(3か月に1回以上)
6.申請方法
<申請の流れ>
許可が下りると、在留カードとともに指定書が交付されます。
<申請書類>
主な必要書類は以下です。
・申請書(在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書)
・健康診断書
・源泉徴収票
・国民健康保険被保険者証の写し
・国民健康保険納付証明書
・外国人本人の履歴書
・登記事項証明書(法人)、住民票(個人)
・雇用契約書及び雇用条件書の写しや重要事項説明書
・課税証明書、納税証明書
・決算書や確定申告書
・1号特定技能外国人支援計画書
・試験の合格を証明する書類
・支援責任者、支援担当者の履歴書
・登録支援機関に委託する場合、支援委託契約書
・その他追加書類
このうち、「雇用契約書」や「課税・納税証明書」、「決算書や確定申告書」、「特定技能外国人支援計画書」などは受入れ機関としての条件を満たしていることを証明する書類です。
これらの書類は申請書類の一部であって、このほか適宜必要な書類を提出していくことで受入れ機関として適正であることなどを示していくことになります。
<審査期間>
審査期間は海外から来日する場合と、もともと日本に在留していた場合とで異なります。
海外から来日する場合:1~3か月
もともと日本に在留していた場合:2週間~1か月
7.まとめ
このように特定技能は従来あった技能実習とは異なり、受け入れる企業によって適した在留資格の外国人を雇用していくことになります。それぞれの特徴を踏まえて検討していくようにしましょう。
また、そのほかの在留資格を検討するのもよいでしょう。
例えば「技術・人文知識・国際業務」では、外国人の学歴など条件がかかってきますが、5年などの期限がないため長期的に雇用することができます。
特定技能の申請は必要書類も膨大になり、企業で行うと事務作業に時間を多くとられてしまうというのが難点です。
そこで、ビザ業務に精通した行政書士などの専門家に頼ることでかなりの負担が軽減されることでしょう。
外国人の雇用を考えている企業の担当者様は一度、ビザ業務に精通した専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
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