在留資格の『技能』の一般的な申請について~概要と要件について
目次
1.在留資格『技能』の概要
在留資格『技能』とは、産業上の特殊な分野において熟練した技術を有している外国人を受け入れ、日本経済発展を促進させるために重要な在留資格となっています。
海外で発展してきた特殊な技能が必要となる産業においては、どうしても日本人が持っているスキルだけでは、これ以上の発展が難しい状況も珍しくありません。そのため、海外で活躍する外国人をわが国に招いて、技術指導などを受けたるような必要性も高いのではないでしょうか。
例えば、中華料理やフランス料理、イタリア料理など、その地域で栄えてきた本場の料理をわが国においても提供できるようにするために、本場のシェフを招き入れたいと考える方は多いでしょう。日本経済全体のことを考えても、そのような熟練した技能を持つ外国人を受け入れることはとても大切なことです。
そのため、在留資格に『技能』というジャンルを設けて、対象となる外国人を受け入れられるようにしています。もちろん、技能の在留資格を受けるためには要件があって、例えば本場中国から中華料理のシェフを国内に招きたいのであれば、中国国内での高い実績が必要となります。
外国人でその道の経験があれば、誰でも取得できるというものではないのです。在留資格「技能」で認められている条件については、「調理」をはじめとして、建築や土木、外国製品の製造、貴金属の加工、スポーツの指導など多岐にわたっています。
2.在留資格『技能』を取得する要件
下記に示すいずれかの要件を満たしており、日本人と同等額以上の報酬を受けことが必要です。なお在留期限審査によっては、「5年」「3年」「1年」「3か月」のいずれかとなります。
① 料理の調理または食品の製造に係る技能
外国において考案され、我が国において特殊な技能を要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当する者。
・10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理または食品の製造にかかる科目を専攻した期間を含む)を有する者
・経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第一部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者(実務経験要件が緩和され5年以上となる。)
② 外国に特有の建築または土木に係る技能
10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指導監督を受けて従事する者の場合に あっては5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築または土木に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
③ 外国に特有の製品の製造または修理に係る技能
10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造または修理に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
④ 宝石、貴金属または毛皮の加工に係る技能
10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
⑤ 動物の調教にかかる技能
10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
⑥ 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削または海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能
10年以上の実務経験(外国の教育機関において 石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削または海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
⑦ 航空機の操縦に係る技能
250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事する者。
※ただし技能証明を保有する機長または副操縦士が該当し、航空機関士については「技術」ビザに該当します。
⑧ スポーツの指導に係る技能
3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間および報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む)を有する者で、当該技能を要する業務に従事する者、またはスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事する者。
⑨ ぶどう酒の品質の鑑定、評価および保持ならびにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という)に係る技能
5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事する者。
- ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
- 国際ソムリエコンクール(出場者が1国につき1名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
- ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)もしくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)またはこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者。
3.在留資格『技能』の一般的な申請
在留資格『技能』を申請するには、申請人の所属機関に応じた必要な書類を揃えて、入国管理局に提出しなければなりません。必要となる書類は以下の通りです。
①在留資格認定証明書交付申請書:1通
②写真(縦4cm×横3cm):1葉
③返信用封筒:1通
④カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書
⑤従事する業務の内容を証明する所属機関の文書:1通
⑥申請に係る技能を要する業務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書:1通
④のカテゴリーとは、申請人の所属機関の区分のことであって、4つのカテゴリーで区分されています。
カテゴリー1:「日本の証券取引所に上場している企業」「保険業を営む相互会社」「日本又は外国の国・地方公共団体」など。
カテゴリー2:「前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人」など。
カテゴリー3:「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人」でカテゴリー2を除いたもの。
カテゴリー4:いずれのカテゴリーにも該当しない団体・個人。
「カテゴリー3」「カテゴリー4」については、下記の書類の提出も必要となっています。
・申請人の職歴を証明する文書
・申請人の活動の内容等を明らかにする資料
・事業内容を明らかにする資料
・直近の年度の決算文書の写し
さらに案件によっては追加で書類を求められることがあります。
4.まとめ
日本で働くための在留資格『技能』の申請のことなら、在留資格に関する申請に精通した行政書士に申請を依頼することをおすすめします。
入国管理局では在留資格の申請を受け付けていますが、不法な申請も少なくないために、かなり慎重にかつ厳しく精査している現状があります。許可が出るまでにかなりの日数を要することもあります。在留資格「技能」においては、日本に招かれていることもありますから、店舗のオープンなどの準備も同時に必要になるのではないでしょうか。
ただ、お伝えした通り、厳しい審査になりますから、難しい書類を数多く整備しなければならず、さまざまな準備と並行するには大きな負担となることは間違いありません。
そのため、申請、規制、法令に対する豊富な経験を持っている行政書士に依頼しておけば、とてもスムーズに進めることができ、安心して日本での就労を始めることが可能となります。うまく活用してみてみることをおすすめします。